(2013年2月1日発行「中学入試直前」)
「中学入試直前」
入試直前の出来事を2~3。
青藍学院では日頃から挨拶はしっかりしようといい続けています。授業の前後の挨拶はもちろん塾に来たとき、帰るときの受付に人がいればその人にきちんと挨拶をすることは当たり前のこと、と思っていたのですが、まだまだ出来ていないことを認識させられました。それが先日の面接の練習。小6、中3の受験生を対象に面接の練習をしました。緊張のせいかこちらの面接官をしっかり見ないでお辞儀をするもの。驚いたのは日頃家の中でソファーに座る習慣のせいか、椅子に腰をかけても背筋を真っ直ぐに出来ず、身体をやや後ろに反らし気味にして座る子が出てきたことです。日頃挨拶はしっかりやっているつもりでもまだまだ心がついていっていないことを実感しました。ならばこういう機会が絶好の機会。ここぞとばかりにその生徒に椅子のかけ方、挨拶の仕方、人と向き合う際の接し方心のあり方をお話しさせていただきました。日を改めた再度の面接の練習ではきちっとした気持ちの良い面接が出来ました。
また同じ面接の練習では「貴方の将来の夢は何ですか」という質問をしました。蕩々と自分の夢を話せる生徒には感心することしきりでした。がそれ以上に、夢がないと言いながらも「周りの人を喜ばせることが出来る仕事がしたい」という生徒が数人いたことは嬉しい驚きでした。
国語の過去問を解いた生徒がその記述部分の採点をしてほしいと持ってくる時のこと。
そこに書かれた答えを見てみると、日頃自分本位に物事を考えている生徒の答案はどうしても設問に答えると言うより自分の書きたいことを書いてしまうことが多いことです。日常の会話の中で、相手の話を聞こうとする以上に自分の思いを言ってしまうタイプです。意外な方向から人の話を聞くことの大切さを指摘することが出来ました。
近年少し気になるのが中学入試におけるお父さん、お母さんが入試直前になってからの様子です。親の一生懸命さがそうさせるのだとは思うのですが、直前になって慌てるのは少し心配でもあります。確かに中学入試は一生に一度のことでもありますが、それは子どもの人生での出来事。お父さん、お母さんには傍からそっと子どもの有り様を見守ってほしいと思うのです。親の緊張感が子どもの不安を煽ってしまうことは残念でなりません。受験校を決めるにしても、直前の勉強の仕方にしてもせめてこういうやり方もあるよという程度で良いのではないでしょうか。特に日頃子どものことをあまり見てやれなかったと思っている親御さんが、せめてこの時ばかりはとこの土壇場で無理な肩入れをすることはこれまで子どもが頑張って培ってきた物事の決め方、勉強の仕方を変更させることになります。受験生本人が不安を覚えることにもなります。受験は子どもの精神的な成長が顕著に見られるとき。入試直前にどんなことを考えどんな行動をとる子なのか。しっかり観察してこの土壇場でより深い経験が出来るよう、より大きな精神的収穫を得られるようにアドバイスしていくことが肝腎なこと。また入試直前は子ども達が真剣なときだけに様々なアドバイスや励ましや優しさが実感できるときでもあります。子ども達の心のあり方が良い状態になっている今こそ、その子にふさわしい言葉を懸けてやることが大切なことではないでしょうか。ご両親にはこの入試を如何に利用して子どもを成長させるかという観点で子どもを見守ってほしいのです。
中学入試はまさにお父さん、お母さんの日頃の子育て、人との関わりが問われているとも言えます。そしてもちろん塾の日頃の有り様がその総決算としてここで問われているのは言うまでもありません。
(代表 林 政夫)