(2012年1月27日発行 「逃げるな、前向け、走り抜け」

「逃げるな、前向け、走り抜け」 代表 林 政夫

先日の感想ノートに受験生に向けてこのような言葉を書きました。受験生にとっては今はまさにトラックレースで言えば第4コーナーを回ってゴール直前の直線コース。何があっても迷っているときではない。唯ひたすらゴールだけを目指して、自分の全てを懸けて走り抜くことしかあり得ない。そんな時、受験生の君達へ。

受験勉強のスタートラインを走り出してまもなく、3月11日の東日本大震災。受験勉強どころではなかったね。
長い日本の歴史の中でも滅多にない、まさに想像を絶する震災がやってきたものだ。そんな中、今此処に命のあること、人と人の繋がり、そして日本人の優しさ、我慢強さ、謙虚さなど、何十年も前から無くなっていたと思われていた日本人のDNAが連綿と続いていたことも明らかにもなってきた。君たちなりに命、日本人、国、そして生きる意味など、様々なことを考えさせられた事だろう。君たちがいつか大人になったとき、ああ、あの大震災があった年に私は小6の、或いは中3の受験生だったんだよと、自分の子どもに言うときがやってくるはず。
また、 受験生になってすぐに、今生きていることの尊さ、命のはかなさ、生きる意味などを考えさせられたことは、最も恵まれた受験生といえるだろう。なぜ勉強しなければならないかをもう一度考えさせられたはずだから。

春期講習と共に第1コーナーをまわって、学校でも小6、中3の新学期を迎え本格的な受験生になって、随分君たちの考え方に我儘があったことを知らされたね。石川洋さんの詩に「つらいことが多いのは 感謝を知らないからだ。苦しいことが多いのは 自分に甘えがあるからだ・・・」という1節があったね。また毎日の勉強の中でいかに後ろ向きな発言をして、自分自身を閉じこめてきたか、いろいろ思い知らされたことだろう。

第2コーナーを回って夏になり講習、合宿、集中授業と自分でも後から振り返るとよく頑張れたなあ、と驚くほど今までにない自分の前向きな一面を見たことだろう。確かによく頑張ったよね。1日15時間も勉強した人もいたのだから。合宿で逃げ出す人がいないものですね、と言った人がいたけれど、むしろ君たちは嬉々として勉強していたね。青藍学院の受験生としてあんなに勉強したのは、きっと一人残らず初めてだったろう。

第3コーナーを回ったときはもう秋になっていた。この頃からは授業がある日も授業がない日も毎日毎日塾に来て勉強していたね。勿論受験直前の今でもそうだけれど。腹を据えて勉強してきたときに毎日毎日の生活の中で自分の弱さ、いい加減さも随分見てきたね。そしてコツコツ継続することの難しさ、自分で決めたスケジュールを淡々とやり続けることの難しさなど改めて気づかされたね。また、やってもやっても成績が上がらないとき、そんな毎日から逃げ出したくなるときもあったよね。そして日頃目立たないような友達が黙々と勉強している姿に刺激を受けて、前を向いて進むことの大切さも学んだはずだ。志望校を考えながら自分の中学生、高校生としての姿が一層具体的に思い浮かべるようになって、自分の将来、自分の人生を今まで以上に深く考えるようになったね。

冬期講習を終わって第4コーナーを回ったとき、振り返ってみるとこの1年随分自分と向き合ってきたことに気づくだろう。そしてここまでの1周がどれほど多くの人々に支えられてきたことか。いや、そう考えてみるとこの1年だけではない。これまで何かをやろうとしたとき、或いは何も考えないで生活をしてきたとき、陰に日向に様々な人の応援を頂いてきたことに気付くだろう。もちろん家族の支えは何にも変えられない大きな愛情と共にあなた方を包んできたはずだ。そればかりではない。貴方の隣に座っている友人、あなたの毎日の生活の場で出会う様々な人々、幼いときからあなたを包み育んできた人々。数え上げればきりがないほど沢山の人々に支えられてきた。そして今、つつがなく自分の目標とする学校を受験できるところまで来た。未来の夢をかなえるための第1歩を踏み出せるところまで来た。

もう、迷うまい、逃げまい。まっすぐ前を向いて唯ひたすらこの与えられたチャンスを自分のものにするために最善を尽くすのみ。この最後の直線コースを全力で走り抜け。